Gymspiration: スマート ジム フロア デザインのエクスペリエンスをマーケティングする
施設マネージャーの皆さまへ。専任のマーケティング担当がいれば必読の記事ですが、そうでなくても、自ら運営と集客を両立させる皆さまをサポートする内容です。この記事では、ジムデザインを強力なマーケティング戦略として活用する方法、ペルソナに基づくゾーン設計、ブランドを体現する空間づくり、各ゾーンでのメッセージングのポイントをご紹介します。
ジムデザインはマーケティング戦略の一環
ジムフロアの設計は単なる運営上の作業ではなく、高い効果をもたらすマーケティングの手段です。適切に設計されたフロアレイアウトは、会員の興味を行動に変え、会員をブランドの支持者に育てる最も効果的なツールになります。フロアはブランド価値を体現するものであり、会員体験に影響を与える機会でもあります。
マーケティング担当者は、フロアがどのようにメッセージを伝えるかを形作る立場にあります。空間の1平方メートルごとに、会員を惹きつけ、安心させ、モチベーションを高めるストーリーを伝えられます。
20年以上にわたり、ジム設計、構築、トレーニング指導に携わってきた経験から、計画的に設計された空間は、新規会員、上級者、エリートトレーナーのニーズを満たすことを実感しています。秘密は、設備とゾーン設計をブランド価値と運営目標に合わせることにあり、商業的・マーケティング的な効果も最大化されます。
直感的で魅力的なジムフロアはブランド資産です。散らかっていたり混沌としているフロアは、むしろ負債となります。
ここでは、戦略的なジムのデザインが、エンゲージメントを高め、定着率を高め、継続的なマーケティングエンジンとして機能する方法をゾーンごとに紹介します。
ペルソナを意識したデザイン
広告キャンペーンがユーザーペルソナを軸に構築されるのと同様に、ジムフロアもターゲットとなる会員の多様なニーズや動機に合わせて設計する必要があります。
新規会員
メッセージ: 「スタートを力強く。自信を持って。」
- アクセシビリティを意識した入口設計:広い通路、明確なサイン、使いやすい機器
- 「First Steps(最初の一歩)」ゾーンとしてブランド化し、ガイド付きワークアウトやスタッフサポートを提供
- 自信をつけることを中心テーマ
経験豊富な会員
メッセージ: 「より深く鍛え、さらなる挑戦を。」
- パフォーマンス向上を体験できる専用ゾーンを設置
- 「Strength Lab」や「Performance Zone」などの名称で空間の価値を高める
- 会員の変化や成果のストーリー、レビュー、進捗確認コンテンツを配置
パーソナルトレーニング会員
メッセージ: 「パーソナル指導で、個人の成長。」
- 個別指導に適した専用ゾーンを設置
- トレーナーの指導風景を紹介し、ダイナミックな動き、モビリティトレーニング、カスタムプランを体験できることを示す
- カーディオ機器近くの空きスペースでも活用可能
ブランドを体現する空間
施設のレイアウトはブランドステートメントです。プレミアムなウェルネスクラブでも、シンプルなパフォーマンスジムでも、空間はブランドのポジショニングを強化すべきです。
- ブティック・ラグジュアリー系: 照明、素材、レイアウトで落ち着いた上質な体験を演出

- パフォーマンス重視:工業的な仕上げや機能重視の設備で本格的トレーニング文化を表現

- ライフスタイル型クラブ: ウェルビーイングゾーン、温かみのあるトーン、バランスの取れた生活を意識したメッセージングを配置

ゾーンごと:のメッセージング
各ジムゾーンは異なる会員層とブランド価値を伝える機会です。
上半身ゾーン
対象:美容・筋力重視の会員
メッセージ: 「誇りに思える体をつくろう。」
活用例: トレーニングガイド、部位別プログラム、テーマ別コンテンツ
下半身ゾーン
対象:パフォーマンス重視のリフターやアスリート
メッセージ: 「力は地面から始まる。」
活用例: スクワット、複合リフト、進捗管理
グルート・ブーティゾーン
ターゲット: 若い女性層
メッセージ: 「ヒップを引き上げよう。」
活用例: トレンド機器、SNS向けクラス
ファンクショナル・トレーニングゾーン
対象: HIIT愛好者、アスリート
メッセージ: 「アスリートのように鍛え、プロのように動く。」
活用例: ダイナミックなトレーニング、スレッドプッシュ、小グループPT、チームワークアウト
コア&ストレッチゾーン
対象:バランス、回復、長期的健康重視の会員
メッセージ: 「強さはコアから。」
活用例: ケガ予防、姿勢改善、モビリティ教育コンテンツ
回復&ウェルビーイングゾーン
ターゲット: ウェルネス重視の会員
メッセージ: 「ルーチンにリチャージを。」
活用例: 回復サービスや休養日の活動、長期会員戦略に最適
パフォーマンス/カーディオゾーン
対象:高出力ユーザー、ランナー、競技志向の会員
メッセージ: 「持久力を高めよう。」
活用例: チャレンジ、リーダーボード、タイムトレーニング
ヘルステストゾーン
ターゲット:データ重視のユーザー、PTクライアント
メッセージ: 「数値を知り、成長を実感。」
活用例: アセスメント、リードジェン、再参加促進
ライトコーチング&少人数ゾーン
対象:初心者・トライアルユーザー
メッセージ: 「サポートはここから。」
活用例: PTへの橋渡し、導入・体験プログラム
動線が体験をつくる
レイアウトの論理を建築家任せにしてはいけません。会員の動線こそが体験の印象を形作り、その印象が定着率や紹介に繋がります。施設は直感的に感じられ、まるで魅力的な物語を歩くかのようであるべきです。移動の導線、サイン、照明を使ってフロアの旅路をガイドしましょう。構造化されたレイアウトは単にトレーニングを支えるだけでなく、自然に会員の行動を後押しします。
まず感動を届け、次に行動へつなげる
優れたジムフロアは単なる機能的な空間ではなく、憧れを抱かせる空間です。マーケティング担当者としての役割は、その物語を形作ることです。各ゾーンは会員が成長する接点であり、「考えている段階」から「入会決定」へ、初日初心者から長期ロイヤル会員への進展を促します。
インスピレーションは恐怖よりも力を持ちます。そして、優れたマーケティングはそれを現実にします。
著者: Ian Rushbury
Customer Experience & Training Manager, Global Key Accounts