アクセサリーを施設設計の主役に
ジムの床面積においては小さな存在に見えるアクセサリー。しかし、会員が手にするその瞬間、トレーニング体験を大きく左右する重要な要素になります。ダンベルの握り心地からトレーニングステーションの整理整頓に至るまで、こうした「細部」が会員の満足度や施設への信頼感、ひいては継続率にまで影響を与えるのです。
Life Fitness / Hammer Strength のアクセサリー製品ディレクター、ジャスティン・ワイヤマン氏は、長年にわたり世界中の施設運営者に「アクセサリーは単なる付属品ではなく、会員満足度・運営効率・ブランド価値を高める戦略的ツール」であることを伝えてきました。
「すべてのアクセサリーは、あなたのブランドと会員をつなぐ“接点”です。ここでの品質が、ブランドの印象を決めます。」― ジャスティン・ワイヤマン
アクセサリーが見落とされがちな理由 ― そして、それが大きな誤りである理由
Q:多くの施設でアクセサリーが軽視されがちなのはなぜでしょうか?
ワイヤマン氏:
多くの施設では、どうしても注目と予算がカーディオマシンやストレングスマシンといった「大型機器」に集中します。その結果、アクセサリーは残りの予算でまかなわれる「おまけ」のような扱いになりがちです。
しかし実際には、アクセサリーは単なる「付属品」ではありません。会員と機器をつなぐ“接点”であり、次の3つの重要な役割を果たします。
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サポート機能: プレートロードマシンに使うオリンピックプレートや、スクワットラックに組み合わせるバーなど、コア機器を機能させるために欠かせない存在。
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専門性の提供: サスペンション、ケトルベル、レジスタンスバンドなど、マシンでは再現できない多様なトレーニングを可能にします。
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保護機能: 適切な素材・設計のアクセサリーは、機器や施設自体を守ります。たとえばウレタン製ダンベルはラックを傷つけず、コーティングプレートはバーベルやウェイトホーンの劣化を防ぎます。

アクセサリーを軽視することは、単に設備の質を落とすだけでなく、会員体験そのものを損なうことにつながります。
会員満足度と継続率を高める鍵
Q:どのようにアクセサリーが会員満足度や継続率を高めるのでしょうか?
ワイヤマン氏:
まず重要なのは、数量とバリエーションです。たとえば、15ポンドのダンベルが常に使用中で見つからないような状況は、すぐに会員の不満につながります。幅広い層に対応できるよう、適切な重量と十分な数を用意することが不可欠です。
次に、アクセサリーはトレーニングの多様性を生み出す原動力です。会員はツールを変えるだけで、まったく新しい動きやトレーニングに挑戦できる。これが“飽きない”ジム体験をつくります。
そして見落とされがちなのが、アクセサリーは会員の手の中・視界の中にある存在だということ。グリップの感触、手にしたときのバランス、デザインの印象――そのすべてが、会員の「ブランド体験」を形成します。
「大切なのは“持っているかどうか”ではなく、“何を・どの品質で・どれだけ揃えているか”です。」
すべての施設に欠かせない基本アクセサリー
Q:どんなアクセサリーを優先すべきですか?
ワイヤマン氏:
オリンピックバーとダンベルは欠かせません。ジムの主力であり、会員が最も頻繁に使用するツールです。安全性は最優先事項です。特にウエイトトレーニングにおいて、品質の妥協は許されません。それに加えて重要なのが“操作感”。
たとえばバーの場合:
- ナーレ(滑り止め)が強すぎると手が痛む
- メッキ処理が粗いとすぐに錆びる
- 精度が低いとガタつきが出て、プレミアム感が失われる
ダンベルも同様です。用途が幅広く、ウエイトエリアの中心的存在。安価なものはすぐに劣化し、見た目も悪くなりますが、高品質なものは何年経っても性能と外観を維持します。
運営効率と機器寿命の向上
Q: アクセサリーは運営効率と機器寿命の向上にどのように貢献しますか?ジャスティン:
安価なアクセサリーは早く壊れるだけでなく、施設全体に悪影響を及ぼします。
たとえば低品質なケトルベルは、ラックの塗装をはがし、トレイをへこませ、床を傷つけることも。床材は長期的に見て大きな投資となるため、この損傷コストは無視できません。
一方、ウレタンコーティングされたダンベルやゴム製ケトルベルなどの高品質モデルは、自身の耐久性を高めるだけでなく、ラックや床を守り、トレーニング環境全体の寿命を延ばします。
つまり、良いアクセサリーを選ぶことは「長期的コスト削減策」でもあるのです。
限られたスペースを最大限に活用
Q:アクセサリーはどのようにスペースの有効活用につながりますか?
ワイヤマン氏:
アクセサリーは非常に柔軟性の高いツールですが、「配置の工夫」が重要です。
たとえば Synrgy 180 は、ファンクショナルトレーニングエリアの端にぴったり収まるデザインながら、多彩なトレーオプションで多くのアクセサリーを整理できます。使用時は簡単に取り出してターフ(人工芝)エリアで使い、終わったらすぐ戻せる。これによりスペースを効率的に使いながら、動きの自由度を保てます。
グループトレーニングでも同様です。Studio Collection は大人数のクラス運営を想定して設計されています。60人の会員が同時に数百個のアクセサリーを使う場面でも、統合型収納によって混乱なくスムーズに進行。片付けも簡単で、安全性と整理整頓を両立します。
ライフ・フィットネス/ハンマー・ストレングス アクセサリーの特徴
Q: LF/HSは他のアクセサリーとどう違いますか?ジャスティン:
多くのブランドは海外の汎用品にロゴを付けるだけですが、Life Fitness と Hammer Strength は違います。
すべてのアクセサリーを、自社のインダストリアルデザイン・エンジニアリングチームが設計。カーディオマシンやストレングス製品と同じ基準で開発されています。
その結果、施設運営者には次の3つの利点が生まれます。
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一貫性: すべての製品が同一の品質基準で作られており、日常使用に耐える耐久性を保証。
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統合性: ラックやストレージ、マシンとシームレスに連携し、床の導線をすっきり保ちます。
会員体験: 人間工学に基づいたデザインで、安全かつ快適にトレーニングができ、会員の自信と満足度を高めます。
「LF/HSアクセサリーは“隙間を埋める”ためのものではありません。施設全体で同じ品質とブランド体験を広げるためのものです。」
開発プロセス ― フィードバックが形をつくる
Q: 製品開発にはどのように取り組んでいますか?ジャスティン:
新製品は「現場の声」から始まります。施設マネージャー、トレーナー、会員の意見を集め、試作・テスト・改良を繰り返して完成します。
最近の例としては、4サイデッド・ウレタン・ダンベル&固定バーベルシリーズがあります。このデザインは「安全性とメンテナンス性」の両立を実現。平面構造により転がらず、エリアを常に整然と保てる。UV耐性素材が長期間の美観を維持し、特殊な化学結合で鋼芯とウレタンシェルを強固に接着しています。
アクセサリーがつくる新しいトレーニングの可能性
Q: アクセサリーは施設が提供できるトレーニングにどのような影響を与えますか?ジャスティン:アクセサリーは、施設で提供できるワークアウトの幅を大きく広げます。たとえばボクシング設備がなかったジムでも、バッグとグローブを追加するだけで新たなトレーニングステーションが誕生します。また、パワーピボットをスクワットラックに取り付ければ、回旋運動やプレス動作など、多様な種目を展開できます。
Q: 安全性の面はどうでしょう?
ジャスティン:安全性も重要です。大型マシンだけでなく、すべてのアクセサリーが同等の安全基準を満たす必要があります。
アクセサリーでブランドを差別化
Q: 施設管理者は、どのようにアクセサリーを利用して差別化を図ることができますか?ジャスティン:会員は、LF/HSアクセサリーを見た瞬間に「品質の高さ」を感じ取ります。それはまるで高級ホテルと格安ホテルを見比べたときのような違い。品質へのこだわりは一目で伝わります。
「Hammer Strength を導入するということは、会員に“ここは限界に挑戦できる場所――しかも安全に”と伝えることです。」
将来を見据えて: トレンドと展望
Q: 経営者はどのようなトレンドに注目すべきですか?ジャスティン:
ストレングストレーニング、特にフリーウェイトやプレートロード機器の需要は今後も伸び続けます。施設運営者は、設置する機器の量・種類・配置だけでなく、会員が感じる“空間体験”にも注目する必要があります。
また、アクセサリー分野にもテクノロジーの波が押し寄せています。近い将来、アクセサリーを活用したトレーニングデータのトラッキングやガイド付きプログラムが一般化するでしょう。
投資対効果(ROI)の見極め方
Q: 高品質のアクセサリーへの投資収益率をどのように測定できますか?ジャスティン:高品質なアクセサリー投資の成果は、「会員の体験」に表れます。常に求めるツールが揃っているか、状態は良好か。見学ツアーの際に、プレミアムで一貫性のある空間を印象づけられているか。これらはすべて、会員維持と新規入会に直結する重要な指標です。
最後に
アクセサリーは“おまけ”ではありません。それは、会員が毎日手に取り、ブランドを体感する高頻度・高接触のツールです。
「数量、品質、配置すべてがブランドの姿勢を映す。アクセサリーこそ、ブランドの真価を語る存在です。」
あなたの施設に最適なアクセサリー構成について、ぜひライフ・フィットネスのスペシャリストにご相談ください。